Lesson8-1 お墓:基礎知識

葬儀とセットで考えなければならないのがお墓です。しかし、最近はお墓なんて必要ない、とおっしゃる方が増えています。そして無縁墓も急増しています。お墓は、日本独特の「家」の制度に支えられてきました。実際のところ、埋葬する場所がないと遺族が困ります。まずはお墓の仕組みを知りましょう。

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お墓を買うとは?

「お墓を買う」とは、「お墓の永代使用権または墓地使用権を取得する」ことです。お墓の場合には、住宅用の土地を取得するように墓地となる土地の所有権を買い取ることはできません。お墓の場合には、墓地の所有者と墓地を永久に使用する権利を得るという契約をします。
つまり、共同墓地の場合には、墓地の所有権は霊園を経営する側にあって、お墓を建てて所有している者は、土地についての使用権を有しているだけです。そのため、永代使用権取得後も、継続的に管理費を支払う必要があります。

お墓の仕組み

お墓は自分の土地であっても、墓地・埋葬等に関する法律(墓埋法)によって、自由に建てることはできません。この使用権は、代々子孫に受け継ぐことができます。ただし、勝手に第三者に売買したり譲ったりすることはできません。第三者への譲渡・転売・贈与は、原則的に認められていません。改葬などで不要になったお墓は、墓石を建てる前の更地の状態に戻して、墓地の管理者に返還するのが基本です。

永代使用権は「永代」とあるため、この権利は子々孫々、末代まで保証されたものと思われがちですが、そうとばかりは言えません。強制力や拘束力を伴う法律ではなく、単に墓地所有者との契約にすぎないので、契約解除、使用権取り消しも場合によってはありえます。権利者が不明になったり、使用料が長期間未納になったりすると、権利は消滅します。

墓地ごとに使用規定があり、多くの場合、その中に使用権の取り消しについての条項が記載されています。使用権を取得した際には、確認しておくことが大切です。墓地によって異なりますが、一般的には次のようなものがあります。

使用承認を受けてから何の連絡もなく、既定の年数以上放置した場合
使用名義人が住所不明になり、既定の年数以上経過した場合
使用名義人が死亡してから既定の年数が経過しても承継する者がいない場合
規定の年数以上管理料を納めなかった場合
規定の目的以外に使用した場合
無断で使用権を譲渡または転貸した場合
使用許可を得るときに偽りがあった場合
寺院墓地の場合、他の宗旨・宗派の方法で法要を行った場合
寺院墓地の場合、名義人が改宗した場合

お墓が何らかの事情で不要になり、墓地所有者に使用権を返すことになったとしても、永代使用料の返還はありません。

永代使用権が消滅すると無縁墓になる

承継者との連絡ができなくなったり、管理者の未払い状態が続くと、墓地所有者からの公示後一定の期間をおいて、永代使用権が消滅してしまいます。公示されたお墓は3~5年間承継者または縁故者が現れない場合は無縁墓となります。

最近、承継者がおらず無縁墓が増加しているというニュースを目にしませんか。お墓は、住宅などと違い、兄弟や夫婦の共同名義にすることができず、民法上特定の一人に承継させなければならないためこのような問題が起きているのです。しかし墓地によっては、使用規則の中で「納骨は六親等内の血族や配偶者、姻族は三親等まで。使用権の承継は三親等までとする」などと規定しているところもあります。確認は必要ですが、二親等の兄弟、三親等の姪や甥と同じ墓に入ることができます。姪や甥がいれば承継者の問題はクリアできます。