見守り契約とは、任意後見がはじまるまでの間、支援する人が本人と定期的に連絡をとり、任意後見をスタートさせる時期を判断してもらうための契約です。定期的に連絡をとることで、急激な変化や孤独死を防ぐ働きもあります。
見守り契約を結ぶことにより、支援する人は見守りながら、本人の変化にいち早く気づき、任意後見開始のタイミングを見極めることができるのです。特に、任意後見受任者が頻繁に顔を合わせる身近な人でない場合は、見守り契約は結んでおいたほうがよいでしょう。
生前事務委任契約まで必要はないと考える場合でも、任意後見契約と同時に結んでおきたいものです。弁護士(任意後見受任者)などとの見守り契約での面談は、1回5000円から数万円程度です。

見守り契約の内容
文章の実例を以下に記載しましたが、実際はもっと個別対応のものとなります。
継続的見守り契約書(例)
本公証人は、委任者〇(以下甲という。)及び受任者△(以下乙という。)の嘱託により、次のとおり継続的見守り契約(以下「本見守り契約」という。)に関する陳述の趣旨を録取し、この証書を作成する。
(契約の目的)
第1条 甲は乙に対し、平成○○年○○月○○日、甲ができるだけ自立して健康な生活を営めるように援助することを目的とし、甲の生活及び身心の健康状態を把握することにより安心して地域社会で暮らせるよう見守ることを目的とする事務を委任し、乙はこれを受任する。
2 乙は、前項の目的を達成するために、甲と定期的に電話連絡及び訪問、面談をして相談・助言し意思疎通を確保し甲の安寧な生活になるように努める。
(契約の期間)
第2条 甲は乙に対し、平成○○年○○月○○日法務局所属公証人○○作成にかかる任意後見契約公正証書による任意後見契約(以下「任意後見契約」という。)に基づき任意後見監督人が選任されるまでの間、本見守り契約を行う。
(電話連絡)
第3条 本契約期間中、乙は甲に対し、定期的に電話連絡を行い、生活状況や健康状態の確認を行うものとする。
定期的とは毎月1回とかあらかじめ決めておくとよい。
但し甲からの電話連絡で生活状況等の確認が取れた場合には、上記電話連絡は不要とする。
2前項の連絡日及び連絡方法は、甲の都合により変更することができる。ただし、甲は、その場合、予め乙にその旨を通告しなければならない。
(訪問)
第4条 本契約期間中、乙は2カ月に1回甲の生活の本拠地を訪問して、甲の生活状況や健康状態を把握するために甲と面談する。
2 具体的な訪問日は、甲と乙との協議によりその都度適宜定めるものとする。
3 乙は、第1項に定める訪問日以外の日であっても、乙が必要と認めた場合又は甲の要請があった場合は、随時訪問面談するものとする。
(見守り義務)
第5条 乙は、甲との電話連絡や訪問・面談を通して常に見守りに変化がないか、何かトラブルに巻き込まれていないか、任意後見監督人選任の必要性などについて常に考慮し、判断しなければならない。
2 前項のほか、乙は、甲の身上面にも十分配慮し、甲が加療を要する傷病を負ったことを知った時は、受診・入院の支援をし、必要があれば親族等への連絡をする。
(報酬)
第6条 甲は、乙に対し、第3条第1項及び第4条第1項に定める定期的な連絡及び訪問に関する報酬とし、月額 (消費税別)を支払う。
2 第1項の報酬の支払方法は、本契約時6ヶ月分を一括して支払い、以後同様6ヶ月分を一括して支払うものとする。ただし、本見守り契約が期間の途中で終了した場合は、乙がすでに受領済みの報酬は、終了月以降の分を月割清算し、甲、甲の相続人、又は甲の法定代理人等に返戻するものとする。
3 甲は、乙に対し、第4条第3項に定める不定期の訪問に関して1回の訪問につき実費交通費を支弁する。
第7条(契約の解除)
1 甲は、いつでも公証人の認証を受けた書面によって、本契約を解除することができる。
2 乙は、本契約の趣旨に照らし正当な理由がない限り、本契約を解除することができない。
甲及び乙は、いつでも本委任契約を解除することができる。ただし、解除は公証人の認証を受けた書面によってしなければならない。
第8条(契約の解除)
本見守り契約は、次の事由により終了する。
(1)財産管理等委任契約が開始したとき
(2)甲が死亡したとき
(3)甲が破産手続き開始の決定を受けたとき
(4)甲が後見、保佐又は補助開始の審判を受けたとき
(5)任意後見契約が解除されたとき
(6)任意後見監督選任の審判が確定定したとき
(7)乙が破産、清算したとき
平成○年 ○月 ○日
当事者の表示
委任者(本人甲)〇
受任者(乙)△