終末期医療に続いて、臓器移植や献体を希望する場合には、必ず家族の同意を得たうえで、生前に意志表示をしておきましょう。
献体の流れ
生前:大学の医学部などへの献体登録
解剖実習は、医学部や歯学部の大学教育の中でももっとも重要な課程です。解剖実習のために自分の遺体を提供するのが「献体」です。
献体を希望する場合には、まず大学の医学部・歯学部や献体篤志団体などに登録します。登録は、各団体から取り寄せた申込書に必要事項を記入し、署名・捺印し、郵送すればOKです。後日会員証が送られてきます。(最近は、献体希望者数が増えたため、必ずしも全員が受け入れられるとは限らないようです)
大切なのは「家族の同意を得ること」です。献体登録していても、死後、遺族の中にひとりでも反対する人がいると、献体できません。
死後:葬儀後に、遺体を移送し献体
登録者の死亡後、会員証に記載されている連絡先に連絡がいきます。遺体は通夜や葬儀を行ったあとに大学などに移送されます。葬儀などは通常と同じように行うことができますが、献体した遺体が遺骨になって返還されるまで、通常は1~2年、長い場合には3年以上かかることもあり、この点でも家族の同意が必要です。遺体や葬儀に対する考え方について、よく話しあっておきましょう。
臓器提供の流れ
臓器の提供を希望する場合には、あらかじめ意志表示が必要です。その際、「臓器提供意志表示カード」、通称「ドナーカード」が活用されます。「ドナーカード」は郵便局、保健所、市区町村役場、コンビニエンスストアなどで配布されています。提供希望者はドナーカードに必要事項を記入して、常時携帯しましょう。交通事故など不慮の事故に巻き込まれ、ドナーとなることもあるからです、カードには健康保険証などに貼るシールタイプもあります。インターネットでの意思登録も始まり、臓器移植希望の登録者は約1万3000人にのぼります。
臓器提供を希望している人が脳死や心停止状態になると、家族の同意を得て移植のための手術がおこなわれます。この際も、家族が同意しなければ移植は行われません。なお、皮膚や血管などのいわゆる「組織」については、本人の意志を表示していなくとも、家族の同意だけで提供できるものもあります。臓器の摘出は、死後すみやかに行われ、遺体はできるだけきれいな状態にして遺族のもとへ返されます。通夜や葬儀は通常の場合と同じように行うことができます。
