Lesson1-3 最後まで自分らしく生きる

高齢者の一人暮らしが増加

近年、多様な生き方が増え、生涯一人暮らしの方が増えています。2014年時点で、65歳以上の方の6人に1人が一人暮らしです。国立社会保障・人口問題研究所によると2035年には、東京都ではこの数値が44%に上昇すると予想されています。

もともと未婚、配偶者に先立たれて一人というケースが多いのですが、中には子供がいてもひとり暮らしを選択されるケースもよくみられます。長く夫婦だけの生活を続けていると、違う世代との同居は案外ストレスのかかることのようです。

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一人暮らしでの不安

現在ひとりか、子供がいるかに関わらず、人生最後はひとりでしめくくる覚悟が必要な時代だといえます。しかし、内閣府の調査によると一人暮らしの高齢者には「健康、病気」「寝たきりや、体の不自由さ、介護」への不安を感じる人がたくさんいます。老い、孤独、病気は誰にでも起きうることですが、一人暮らしの場合、高熱出しても看病したり、かわりに買い物に行ってくれる人もいません。若者でも大変なのですから、体力の落ちた高齢者はなおさらです。「自分はこのまま死んでしまうのか」「実は悪い病気で・・・」と気持ちもふさぎ込みます。元気なときであっても、「認知症になったら」「悪徳商法にひっかかったら」「強盗に狙われたら」「誰がお葬式を出してくれるのか」「お墓は」などと悩みはつきません。この講座が進むにつれ、これら不安への対処ができるようになればいいですね。

いつまでひとりで暮らすべきか

介護が必要になれば、施設に入ればいいのではないか。しかし、厚生労働省の2013年国民生活基礎調査によると、介護保険法上の要支援や要介護と認定された「自宅暮らしの65歳以上」の人達のうち27.4%は一人暮らしを続けています。このうち大多数は要支援か、要介護度が比較的低く、全面的介護が必要な要介護度4や5の人は1割程度です。多くの高齢者が、掃除や身の回りのことに一部介助が必要な状態ながら、自宅で生活されているということです。

子供達と暮らし、介護を受けるにしてもその負担は大きく、介護疲れや離職が社会問題になっています。施設に入ればいい、といっても、空き施設も不足気味です。とはいえ、いつかは動けなくなる時がくるのですからやるしかありません。知識をつけ、事前に調べ、法制度や介護保険の仕組みを熟知することで、本人や家族の負担を減らすことができます。介護や医療、相続についての法制度や仕組みはよく変わります。介護であればケアマネージャーや行政窓口、相続であればファイナンシャルプランナーや税理士などに相談できます。一人暮らしの方は情報不足になる可能性がありますので、積極的に外部の力を利用しましょう。

介護や病気、死については、皆、元気な時は考えたくないものです。でも、余裕のある時にこそ準備しておけば後で違いが出てくるでしょう。