Lesson1-2 終活の本当の意味、心得

何のための終活か

ひと昔は「死ぬとき」について話をするなんて縁起が悪い、と避けられていました。今でも、親子の間ではタイミングを選んで持ち出す話題ではありますが、これだけ世の中に浸透してくると市民権を得たと言っても過言ではありません。

しかし、何のための終活かに立ち戻ってみると「子供や孫に迷惑をかけたくないから。」「お墓もお葬式も迷惑をかけるから不要」という声が多いようです。このように終活とは「不要なものを減らし、残されたものに迷惑をかけないためのもの」という一面がクローズアップされています。しかし親子や家族は本来、迷惑をかけあって支え合いながら生きてきたのではないでしょうか。親子や夫婦で話し合い、相手を説得するまでの「面倒」を避けるために、「自分で自分の始末をつける」という形がイメージされているのかもしれません。

どうも、終活はあまり楽しそうに思えませんね。でも、本来の終活とは、充実した生を実現するためのものなのです。

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「自分のため」=「遺族のため」

よくあることですが、「自分の死ぬことなど考えたくない」という人ほど「周りに迷惑をかけたくない」と矛盾したことをおっしゃいます。そういう人こそ、経済的・精神的余裕のあるうちから終活を始めるべきです。心が軽くなります。

終活とは、「人生の引き継ぎ」です。残された配偶者や子供達が戸惑うことのないよう、的確に申し送り事項をまとめ、共有することで、遺された家族の経済的・精神的負担を軽くします。ご本人が後悔しない最期、周りも後悔しない最期、そしてお互いの愛情や思い出にひたる余韻のある別れ、前に踏み出せる力、これらは入念に準備した終活が与えてくれるものです。

終活は、一生もの

本人が元気なうちなら、情報をたくさん集め、前向きな工夫や発想も出てくるかもしれません。また、これまでの人生を見つめなおし、やり残したことはやってしまう、というポジティブなものも終活です。早く始めたほうが、自由度、満足度が高いといえます

現役世代であれば、経済的余裕もあります。早いうちから資金面について計画を立てることもできます。一般的には、定年頃がはじめ時ですが、最初から完璧な計画である必要はありません。孫が生まれた、病気になったなどという変化により、後でプランを見直せばいいのです。還暦から平均寿命まで20〜30年間を生きるわけですから、その間も常に進化し、自分を見つめなおす「一生の活動」としての終活だととらえてみてはいかがでしょうか。