主に要介護状態の方を対象にした施設にも、民間企業運営のものと公共のものがあります。団塊世代の高齢化に伴い、都市部では施設不足のため、待機者が増えています。入居できる条件が決まっているため、判断がつかない場合はケアマネージャーなどの専門家に相談するのがよいかもしれません。自立した高齢者の住まいとともに、要介護の住まいについては今後、法律改正や介護保険の変更などが予想されます。最新の状況を把握できるよう情報源を確保しましょう。

民間型
介護付有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、介護が必要になったときにそのホームのスタッフがサービスを提供する施設です。定められた基準をクリアし、「特定施設入居者生活介護」と呼ばれるサービスを提供する認可を受けて初めて「介護付き有料老人ホーム」として運営することができます。
要介護1~5の認定を受けた要介護者のみが入居できる「介護専用型」と自立・要支援と要介護の方を対象にした「混合型」があります。「混合型」の中には、身の回りのことが自分でできる自立状態であることを入居条件とした「入居時自立」というホームもあります。
費用は、入居時に支払う入居金と、月額利用料がかかります。入居金を払うことでその施設を利用できる権利が得られる「利用権方式」を採っているところが多いです。介護サービス費は介護度による定額制で、収入によって1割、または2割の自己負担額となります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立・要支援・要介護の方が入居でき、食事サービス、清掃・洗濯などの生活支援サービス、医療機関提携・緊急時対応などの健康管理サービス、レクリエーション・イベント等のアクティビティなどが受けられる施設です。
介護が必要になった場合は、訪問介護や通所介護などの在宅サービス事業所とサービスごとに入居者個人が契約をして介護サービスを受けます。自立の方を対象にしたところが多い印象ですが、実際は要介護者を対象にしたところも多くあります。
費用は、入居時に支払う入居金と、月額利用料がかかります。介護サービス費は、在宅でサービスを受ける場合と同様に、介護度による支給限度額までは1割または2割負担(収入による)、それを超えると10割負担となります。
グループホーム
要支援2以上で原則65歳以上の認知症高齢者で、施設がある自治体に住民票を持つ方が入居できる施設です。5~9人を1ユニットとする少人数で、専門スタッフから介護サービス、機能訓練等を受けながら、料理や掃除などの家事を分担し共同生活を送ります。
家庭的な環境で自立支援と精神的安定を図り、症状の進行を遅らせることを目指しています。ただし、重介護や医療ケアが必要になった場合は退去しなければならないケースがあります。なお、認知症の方の受け入れは、有料老人ホームや公共型の特別養護老人ホームでも行っています。
費用は月額料金に加え、初期費用として入居金や保証金が数十万円程度必要な場合があります。
公共型
特別養護老人ホーム
特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設 通称:特養)は公的な介護保険施設で、入居基準は要介護度3以上となっています。重度の認知症の方の受け入れも行っています。
看護師は、日中はいますが夜間配置の義務はないため、医療ケアを常時(夜間も)必要とする方の対応は難しく、入居不可となるケースもあります。
月額費用は、部屋のタイプがユニット型個室となっている「新型」で15万円前後、以前からの個室や多床型の「旧型」は10万円前後で、初期費用はかかりません。
入居の順番は申し込み順ではなく、介護度以外に家族状況なども考慮して必要度が点数化され、緊急度の高い方が優先されます。待機者は非常に多く、地域によっては入居まで数ヶ月~数年かかると言われています。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(通称:老健)は病院と自宅の中間的な位置づけで、退院後すぐの在宅生活が難しい要介護1以上の方を対象に在宅復帰を目指す介護保険施設です。入居期間は原則3~6ヶ月ですが例外もあります。
身体介護、医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。費用は4人部屋で9~12万円前後、2人部屋・個室は特別室料が加算されます。初期費用はかかりません。
介護療養型医療施設
介護療養型医療施設は、医学的管理が必要な要介護1以上の方を対象にした介護保険施設です。身体介護、医療的管理、理学療法士などによるリハビリテーションなどが提供されます。入居者100人に対し3人の医師が配置される医療機関で、淡吸引、カテーテル、経鼻栄養といった医療ケアが充実しています。費用は4人部屋で9~17万円前後、個室は特別室料が加算されます。初期費用はかかりません