元気な高齢者の一人暮らし、または夫婦だけの暮らしを支える住居の種類をご説明します。主に、民間企業の提供するもの、そして公共のものの2種類があります。
民間型
サービス付き高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、60歳以上の方が入居でき、有資格者の相談員が常駐し、安否確認と生活相談サービスが受けられる住まいです。原則として部屋の広さは25㎡以上でバリアフリー構造です。賃貸借契約で、初期費用は比較的安価な数十万円で借りられるところが多いですが、中には数千万円のところもあり、月額費用も5~25万円と、立地条件や建物、提供サービスによって差があります。民間の賃貸住宅の延長と考えられます。主に、一人暮らしや夫婦2人暮らしが不安な自立~軽介護度の方に適しており、介護が必要な場合は在宅サービスを利用します。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けている施設は、介護が必要になれば担当スタッフから介護サービスや生活支援サポートを受けることができ、介護付き有料老人ホームと同様のサービスが提供されていますので、重介護度の方の受け入れも相談できます。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立状態の高齢者を対象とした、食事サービスが付いた高齢者施設です。温泉やスポーツジムなど元気な状態の維持を目的とした設備が充実しており、居室は1LDKや2DKなどの間取りで、バリアフリーでバス・キッチンがついています。
介護が必要になった場合は契約解除し退去しなければなりませんが、介護を受けられる施設が隣接しているところもあります。
初期費用は数千万円と高く、月額費用は15~50万円と差があります。
高齢者専用賃貸住宅・高齢者向け優良賃貸住宅
高齢者向け優良賃貸住宅とは、民間事業者や公団などによって設置・運営され、都道府県単位で認定された賃貸住宅です。60歳以上の方が入居対象で、バリアフリー仕様で緊急時対応サービスや安否確認サービスなどが受けられます。
初期費用は数十万円程度、月額利用料は家賃と管理費で5~15万円程度で、世帯収入が一定基準以下の場合は国や自治体などから家賃補助が受けられます。両方とも現在は、「高齢者住まい法」によりサービス付き高齢者向け住宅への登録切り替えが行われています。
シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションは、高齢者を対象にした分譲マンションで、所有権を有し、売却、譲渡、賃貸、相続などが可能な資産となります。
家事援助サービスがある、温泉やプールがあるなど、付帯サービスや共用設備はさまざまです。介護が必要になった場合は在宅サービスを利用します。
自己所有物件なので身体状況により退去を迫られることはありませんが、介護度が深刻になると自宅同様、介護施設への転居が必要になる場合もあります。

公共型
軽費老人ホーム
軽費老人ホームは、自立した生活に不安があり身寄りのない高齢者が、自治体の助成により低価格で入居できる施設です。食事を提供する「A型」、食事を提供しない「B型」、「ケアハウス」の3種類があります。
入居には本人または夫婦のどちら一方が60歳以上で、「A型」「B型」は自分で身の回りの世話ができ月収34万円以下などの要件があります。ケアハウスは、軽費老人ホームA・B型とは違い所得制限がなく代わりに入居金や家賃を徴収しますが、自治体からの助成を受けて運営しているので比較的低料金で入居することができます。
いずれも要介護になった場合は在宅サービスを利用しますが、ケアハウスには特定施設入居者生活介護の指定を受けているところもあり、その場合はそのケアハウスのスタッフから介護サービスを受けることが可能です。