急ぐ必要はないものの、遺族がしなければならない手続きはたくさんあります。ここまでは、生前に準備するわけにはいきませんが、遺族として見送る時のご参考になればと思います。亡くなった方の住民票や戸籍謄本(除籍)、死亡診断書やそのコピーを多めに用意しておけば効率的に行えます。

世帯主の変更届(世帯主が死亡の場合)
世帯主が亡くなり、その世帯に十五歳以上の人が二人以上いる場合は、死亡から十四日以内に世帯主変更届を市区町村に提出し、世帯主を変更する必要があります。
健康保険の資格喪失届と返却
健康保険には、主に「国民健康保険・後期高齢者医療」と「健康保険」の二つがあります。
国民健康保険・後期高齢者医療
亡くなった人が自営業者などの場合は、国民健康保険資格喪失届を、75歳以上の場合は、後期高齢者医療資格喪失届を提出し、健康保険証等を返却します。
※後期高齢医療の場合は、追加で以下も必要になります。
・相続人の印鑑・預金通帳(高額医療費がある場合)
・限度額適用・標準負担額減額認定証
・特定疾病療養受療証
亡くなった人が世帯主でその家族も国民健康保険に加入の場合は、返却の際に、世帯主を書き換えて新しい健康保険証を発行してもらいましょう。
健康保険
亡くなった人が会社員等であった場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出し、資格を喪失させる必要があります。
年金受給停止と未支給年金請求の手続
亡くなった人の受給停止の手続きが必要です。一方、亡くなった月の末日まで年金を受取る資格はありますので、まだ受取っていない年金があれば、それを請求する未支給年金の請求手続きをしましょう。未支給年金を受取れる遺族は、配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→それ以外の三親等の順番が付けられています。
【注意】もらい忘れた年金がないか確認
年金制度の変遷や基礎年金番号の未統合により、故人も知らない「もらい忘れた年金」が残っている場合もあります。未支給年金請求の際に、同時に故人の職歴や旧姓など、わかる範囲で情報収集して年金事務所等で確認しましょう。また、「もらい忘れた年金」がある場合は、過去5年分だけでなく、5年超の時効特例分も受取ることができます。
遺族年金の請求
遺族年金の受取りには「亡くなった人に生計を維持されていた」ことが大前提になっています。「生計を維持されていた」人とは、死亡当時、亡くなった人と生計を同一にしていて、年収850万円を将来にわたって得られない人のことです。実際に遺族年金を請求する場合は、ねんきんダイヤル0570-05-1165(ナビダイヤル)または03-6700-1165で、確認してから行なってください。
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つがあります。
遺族基礎年金の請求
国民年金に加入しているまたは加入していた人が亡くなった場合は、亡くなった人によって「生計を維持されていた」子のいる妻や夫、または子は、年金請求書を提出し遺族年金を受取ることができます。
遺族厚生年金の請求(遺族基礎年金と合わせて)
会社員等で厚生年金に加入しているまたは加入していた人が死亡した場合は、「妻・子・55歳以上の夫」→「55歳以上の父母」→「孫」→「五十五歳以上の祖父母」の順位で、遺族厚生年金と遺族基礎年金を合わせて受取ることができます。
遺族厚生年金の年額
遺族基礎年金のように定額でなく、遺族厚生年金は亡くなった人の老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額の四分の三になります。老齢厚生年金とは、いわゆる老後に支給される年金のことです。この老齢厚生年金の報酬比例部分は、故人が支払った保険料や納付月数などの条件によって算出されます。亡くなった人の収入によってその額が異なりますので、年金事務所やねんきんダイヤルで確認してみましょう。合計で「遺族厚生年金の年額」+「遺族基礎年金の年額」を受取ることができます。
水道光熱費や電話料金公共料金等の変更・解約
これらの支払い方法が口座引き落としになっている場合は、本人死亡のため、口座が凍結されると支払いができなくなるので、早めに手続きをしましょう。
電気・ガス・水道
電話やインターネットからでも変更手続きはできますが、口座凍結のため、支払い方法の変更手続きも必要です。
携帯電話・インターネット
携帯電話の解約は、除籍謄本など死亡が確認できる書類を窓口に持参すればできます。解約日までの料金を請求されることもありますので、早めに解約手続きをしましょう。インターネット回線の解約は、電話やインターネットで可能なこともあります。詳しくは各会社のお客様センターへお問合せください。
NTT固定電話
NTTの電話加入権は、財産になるので相続手続きが必要になります。NTTに戸籍謄本等を必要書類に添付すれば、郵送でも手続きできます。少額ですが、NTTの電話加入権には相続税が掛かりますので、申告時には注意しましょう。
クレジットカード等の返却手続
返却手続きは、カード会社によって異なります。電話で問い合わせて、必要な書類を揃えて提出しましょう。ちなみに故人が使用したカードの未払金は、相続人が支払わなければなりません。最近は公共料金の支払いもクレジット払いにされている人も多いので、注意しましょう。利用明細が気になる場合は、情報開示してもらえます。