健康寿命とは
自分で自分の事ができる期間のことです。ニッセイ基礎研究所保険研究部によると2016年の健康寿命は男性が72.14歳(平均寿命80.98歳)、女性が74.79歳(平均寿命87.14歳)。2013年の健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳だったことから、この3年間で、健康寿命は男性が0.95年、女性が0.58年延びたといえます。これは平均寿命の延びを少しだけうわまわるペースです。政府は、国民の健康寿命を2020年までに 2010年の値から1歳以上、2025年までに2歳以上延ばすことを目標としています。
次に、健康であっても本人が生活の質をどのように感じているかをみてみましょう。厚生労働省の調査をもとに「健康上の問題で日常生活に影響がある」と答えた割合を年齢別にみた場合、2004年と2016年を比較すると60歳未満の現役世代では、ほぼ横ばいで推移しているのに対し、60歳以上の高齢者では継続的に改善していました。2016年の65~69歳は2004年の60~64歳と同水準となるなど、65~79歳では、この12年間で5歳分程度、若返っているとも考えられます。
しかし、男性で約9年、女性で約12年という不健康期間の存在は決して短いものではありません。特に、健康寿命というと高齢者の問題ととらえられがちですが、実は若いときからの生活習慣の積み重ねによるものだという認識が薄いのが問題ではないでしょうか。以下、健康寿命を延ばすためのヒントをいくつかご紹介します。
①楽しく身体を動かす習慣
転倒予防による寝たきりを防ぐためにも、足腰を鍛えることは大切です。家事をしながらも鍛えられますが、大勢で身体を動かし、その後交流を楽しむことで、継続しやすく、外出の励みにもなります。ラジオ体操に参加する方が多いようですが、上記の目的にかなうものでしょう。一方、若い世代が社会人になってから楽しく運動できているかといえば、なかなか難しいのが実情です。働き方改革などにより運動に時間を割けるようになるといいですね。
②規則正しく、1日3食食べる習慣
一人暮らしだと、食事も一人という場合が多いのではないでしょうか。人のために料理をしたり、誰かと一緒に食べるのでなければ、調理自体が面倒になり、徐々に栄養バランスにも気を遣わなくなりがちです。日本能率協会総合研究所の2015年の調査によると、一人暮らしの高齢者の45%が「栄養バランスがとれていない」と自覚していました。高齢者会館などでは定期的な食事会が行われていますし、料理教室などもあります。人と食事をし、料理をする習慣を保ち続ける努力をしましょう。

③人との会話で笑うこと
一人でテレビをみて笑っても免疫力アップ効果はあります。しかし、不安を話したり、共感してもらったりということは他人とのコミュニケーションを通してしか得られません。悩んでいるのは自分だけではない、と分かるだけでも心が楽になります。人と顔を会わせる機会、ジムでも趣味の会でもよいので地域で居場所を見つけましょう。
④好奇心とチャレンジする心
シニア向け大学講座が盛況です。資格や仕事のためにではなく、学ぶということを楽しむ人たちが集まっています。いくつになっても大丈夫、そして若いときにできなかったことをあきらめる必要はありません。踏み出す勇気をもちましょう。
⑤かかりつけ医をもつこと
近所に気軽に相談できる医師がいれば、心強いですね。病歴や健康状態を把握してもらえるため、大きな病院への紹介もお願いしやすいです。長いつきあいでは相性も大切ですので、少しずつ探してみましょう。