Lesson5-3 お金:老後資金の管理

終活について学び始めて、お金の管理について考える機会が増えたのではありませんか。老後の資産管理においては以下のような特徴が挙げられます。

・数千万円以上の資産
・増やすことよりも取り崩していくことが中心となる
・借り入れができない
・昇級やボーナスに頼った家計管理はNG

いずれも現役時代のお金の管理とは異なります。現役時代は、手元の資金がまだ少なく、これをいかに増やしていくかがポイントでした。また、住宅ローンなどの借り入れをするのは現実的に避けられませんし、ほとんどの世帯はローンの返済が家計の軸になっています。家計についてはこれからの収入でやりくりすることも多く、ボーナスでバランスを取ることも多いでしょう。しかし、老後の家計ではどれも通用しなくなると思わなければいけません。現役時代と逆の資産管理の考えになります。
そして、「計画」や「管理」が重要なポイントとなります。まず、資産を大きく分類してみます。

・換金がすぐできない、子どもに残していきたい資産(不動産や自宅)
・計画的に取り崩して、生きている間に使い切ってもいい資産(余裕資金)
・基本的には残しておきたいが、何かあった時に使う資産(最終手段)

だいたいどれくらいを取り崩す資産としておくのかは計画を立てたほうがよいです。例えば、資産が4000万円あって、毎月10万円を20年取り崩すとしたら、2400万円は取り崩し分、1600万円は万が一の際の資金という案配です。長生きの可能性なども考えると、厳密な計算は不要ですが、だいたいのイメージをしておくべきです。

自分の資産をきちんと洗い出して、ざっと分類しておくと、「毎月どれくらい取り崩しても暮らしていけるか」が明らかになってきます。老後の生活が計画的になってくる第一歩というわけです。毎日、節約しすぎてストレスをためるのもよくありません。自由で元気なうちに旅行にも行きたいですよね。

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また、以下のポイントを心掛けるとさらに安心です。

①働けるうちは働く

アルバイトでも、有償ボランティアでもかまいません。そして、無給のボランティアであっても社会とのつながりを持つ、健康を保つ、という点では意味があります。

②運用はリスクを避ける

老後資金は最低でもこれだけは必要、というようなメディアに踊らされて、退職金をハイリスク商品につぎこむというケースも少なくありません。どれくらい生きるかを冷静に判断し、効率よく使う方法を考えるのが、高齢者の知恵のみせどころです。

③無駄な出費を抑える

自動車と生命保険は本当に必要でしょうか。レンタカーやカーシェアリングが人気の時代です。近年、高齢者の交通事故が増え、免許返納制度もできました。交通の利便性が高い場所に住めば自家用車はいりません。また、子供達が巣立てば生命保険よりも、あなたご自身のための医療保障のほうが大切になります。

④金融資産の口座は絞り込んでいく

遺産整理の時にも役立ちます。

⑤施設への入居費は別と考え、手をつけない