定年後や老後にローンが払えなくて破産する原因第一位は、住宅ローンによるものです。給与収入のない65歳を超えての住宅ローンは相当な負担になることを覚えておきましょう。
自宅でどう過ごしたいか
マイホームを持つのが夢だった、という方は多いと思います。しかし家の意味は、人生の段階において異なります。子育て、勤務地ありきの立地、地域への愛着と役目が変わります。「老後をどのよに過ごしたいか」によって、家をどうするか柔軟に考えていきましょう。家は、あなたの快適な生活を送る上でのツールにすぎません。時には、取り替えたり、手を加えたりしてもいいのです。その際のポイントは、
・できるだけ長く、今の家で過ごしたい
バリアフリーや補修など、リフォームに力を入れる。自治体のバリアフリー補助などを活用する
・便利な家に住み替える
立地や子供のそば、高齢者用マンションなどを検討
自宅の処分というと、相続税の話題が出ますが、基本的には考慮しなくてよいでしょう。税制度は複雑で頻繁に変わります。必要になったとき、住み替えで節税を考えた時などに専門家に相談しましょう。
さて、自宅を豊かな老後に活かそうという流れの中で、最近「リバースモーゲージ」という方法が脚光を浴びています。
リバースモーゲージとは
「自宅を担保にお金を借りるローン」のことです。借りたお金の使い道は、生活費が基本ですが、自宅のリフォーム等にも使えます。形態は「借入額を好きなタイミングで引き出せる」、「毎年一定金額を年金形式で受け取れる」など、金融機関によって様々です。最終的なローンの返済方法は、以下のどちらかを選ぶことが多いようです。
1)契約者が死亡した際に、ご自宅を金融機関に明け渡す
2)相続人がローン額を返済する
金融機関によっては、年齢条件等一定の要件を満たしていれば、契約者だけでなくその配偶者の死亡時までローンの返済は不要です。死亡時にご自宅を明け渡すのであれば、「生前に自宅を売ってしまえば?」と思われるかもしれませんが、高齢者は愛着のある自宅に住み続けたいものです。
以前は信託銀行の取扱商品でしたが、メガバンクが参入するなど、現在では地銀を含め、多くの金融機関が取り扱っています。
< 例>
・みずほ銀行:みずほプライムエイジ
・三井住友信託銀行
・三菱東京UFJ銀行
・東京スター銀行
なお、リバースモーゲージ自体は、住宅を担保にした「ローン」なので、ローン期間(生きている間)は、金利が発生します。金利の返済方法には様々なタイプがありますが、大きく分けると以下2つの方法があります。
1)毎月利息分を返済
2)死亡時に一括して返済
リバースモーゲージは「土地」の価値
リバースモーゲージは、自宅であれば必ず利用できるわけではないので注意が必要です。高齢者が利用する商品となるため、担保となる自宅は老朽化していると想定し、自宅の「建物」自体の資産価値よりも「土地」の価値が重要となります。「土地」の価値が重要となるということは、自宅が都市部にない場合は、利用できない可能性もあるということです。一部の金融機関では、リバースモーゲージを利用できるエリアを定めていることもあり、土地の評価額が数千万以上あること等、いくつか利用制限を設けています。リバースモーゲージを検討する場合は、いくつか金融機関をあたることをお勧めします。
また、都市部の自宅であっても契約者の死亡時にトラブルが発生しそうな二世帯住宅などは利用できません。自宅の相続を希望している相続人がいると相続時にトラブルになりかねないので、事前に全相続人の同意を得る事が条件になっている金融機関もあります。
持ち家がマンションの場合は
「土地」の価値が重要となるので、土地部分が少ないマンションでのリバースモーゲージの利用は一般的ではありません。しかし、一部の金融機関ではエリアや築年数など、条件次第でマンションも対象とするケースもあるので、マンションでも利用できる場合もあります。
注意点は?
一番のリスクは、「土地の担保評価額が変動する」ということです。経済の動向などで、土地の担保評価格が下落した場合、融資自体が打ち切りになってしまう可能性もあります。なお多くの金融機関では、年に一度等定期的に土地の担保額を再評価しています。
平均寿命に鑑みると「一生涯受け取れる資金を確保できる」と考えるのは危険です。リバースモーゲージは、公的年金の「足し」にはなりえますが、生きている限り受け取れる公的年金の「代わり」にはなりません。「ご自身で用意した老後資金の足しになる存在」「最終手段の一つ」と考えるべきです。
また、住宅ローンを完済していない状態で退職を迎え、リバースモーゲージを検討してはいけません。リバースモーゲージをあてにした住宅購入は大変危険です。リバースモーゲージは、「老後の最終手段の一つ」となるように、事前にしっかり資金計画を立てておきましょう。
